仮通夜

2010-09-25

仮通夜

枕経もあげていただき、臨終の日の夜である今夜が仮通夜となる。
枕飾りの一本の線香と蝋燭を絶やさないように亡くなった人と家族・近親者で過す。
「あなたは亡くなったのです。これから浄土に導かれます」といった意味合いも持っているようだ。
玄関には忌中の紙を貼り、神棚を半紙で隠し、仏壇の中扉は閉めておいた。

仮通夜は家族、近しい親類・近親者で過ごし、ご近所の方などは弔問に訪れても玄関先の挨拶でとどめる。
他人であっても本当に親しかった友人、親友などは参っていただいてもいいのだろう。
最近では臨終の時間帯にもよるが、仮通夜の一晩を過さないで、臨終のその日の晩に通夜を行うことがあるようだ。
自宅に戻らず、通夜、葬儀・告別式が行われる式場に直接向う。
それもまた何だか寂しいものがある。せめて一晩くらいは一緒に静かにすごしたいものである。

臨終の日の日付が変わろうとするころ、少しは落ち着いて父のアルバム、写真を家族で見る。
「これはあのときの写真」などと思い出話をしながら、遺影写真を選ぶ。
病院で午後6時に亡くなってからバタバタと悲しむ間もなかったが、父が亡くなった現実を改めて認識し涙が出たとともに、私に出来る限りの父の葬式を出そうと思った。

日付変わって午前2時ごろ、いとこが駆けつけてくれた。
開口一番「なんで入院した時に知らせてくれなかったの!」と怒られた。
許してください、父に意識があったとしたらきっと入院を知らせるなといっていただろうから知らせなかった。
父はそういう人だった。